第112章 裸の付き合いで歩み寄るのは心。
話の流れから悪意のある意味だと思ってしまったが、そうではなかった。葵咲の顔を見てその事に気付く新八。
ハッとなって葵咲の顔を見やると、葵咲は少し寂しそうな笑顔を浮かべて新八の方へと向き直った。
葵咲「私は兄弟いなかったから羨ましい。」
新八「葵咲さん…。」
詳しくは聞いていないが、以前銀時から葵咲は両親を失って、伯父である吉田松陽に引き取られたと聞いた事がある。
親兄弟のいない葵咲は寂しい幼少期を過ごしたのかもしれない。
そんな事が頭を過った新八もまた、少し寂しい表情になってしまう。
それに気付いた葵咲は、ハッとなって再び慌てた様子で笑って見せた。
葵咲「なーんて、贅沢な話だよね。私にとっては銀ちゃんや太郎ちゃん達がお兄ちゃんみたいな感じだったもの。折角楽しい幼少期だったのに、欲をかいたら罰が当たっちゃうね。」
新八「良かったらまた、銀さんの小さい頃の話とか聞かせてもらえませんか?」
葵咲「うん。ネタはいっぱいあるよ。」
新八「楽しみにしてます。」
話の区切りがついたところで、葵咲が立ち上がった。
葵咲「じゃあ私はそろそろ。肝試しの準備があるからこれで。これからもお姉さんの事、妙ちゃんの事、大事にしてね。」
新八「はい!」
シスコンである自分の事が認められた気がして、新八は嬉しく思った。