第112章 裸の付き合いで歩み寄るのは心。
(新八:僕とお通ちゃんが付き合ってるって思われてる…!?もじもじしながら その確認をするって事は…まさか葵咲さん、僕の事を…!?とうとう僕にも春到来ィィィ!?僕はどうすれば良いんだ、確かにお通ちゃんへの愛は変わらない。けど!ここで大人の階段上れるなら…!!)
『僕とお通ちゃんは付き合っていません。』
そう言おうとした新八だが、それよりも先に葵咲が続きの言葉を放った。
葵咲「握手する前に手洗ってないってホント?」
新八「何の話だァァァァァ!!」
全然違ってた。自意識過剰すぎた。いや、それ以前になんだその質問は。新八の頭の中は混乱する。唐突な質問に盛大にツッコんでしまったが、葵咲は至って変わらぬ表情で言葉を返す。
葵咲「前に銀ちゃんが。」
新八「アイツ何とんでもねー嘘流してくれてんだ!違いますよ!ちゃんと手洗って握手会に参加してます!!」
雪月花第95訓の話である。妙な疑いを掛けられた銀時が咄嗟に新八を引き合いに出した。葵咲はそれがずっと気になっていたらしい。
暫くの間、葵咲は汚いモノを見るかのような目で新八の事を疑い眺めていたが、やがて納得したように頷いて別の話題へと切り替えた。
葵咲「そういえば、男の人ってお姉さんがいるとシスコンになっちゃうものなのかな?そーちゃんもそうだったし。」
新八「いや、どう、なんですかね。なんか、すみません。」
今度はなんだ。別の切り口から攻撃が。『葵咲さんは一体僕の事をどんな目で見てるんだ。』、そんな思いを抱えながら新八は、いたたまれない表情を浮かべる。
だがここで葵咲は新八のそんな表情に気付いて慌てて取り繕った。
葵咲「あ、いや、ごめん、言い方が悪かったね。お姉さんの事、大切に想ってるなって。良い関係だなって思っただけだよ。もし私にも弟がいたら、こんな風に想ってもらえるのかなーって。」
新八「!」