第112章 裸の付き合いで歩み寄るのは心。
和気あいあいと温泉を堪能する女性陣。そんな露天風呂の外に怪しげな影が二つ…。葵咲達の後を尾行してきた二つの影だ。
その正体とは…近藤と東城である。二人は別々に後をつけてきたのだが、ここで鉢合わせする。
近藤・東城「・・・・・。」
近藤「なんでアンタがここにいる?」
東城「それはこちらの台詞です。もしや貴方、若の裸を…!?」
主君の貞操の危機か、そう感じた東城は抜刀の構えを取る。だが近藤はうろたえる事無く、腕組みしながら堂々とした態度で言葉を返した。
近藤「バカ言うな。俺はお妙さん以外の裸には興味ねぇ。そういうアンタはどうなんだ?お妙さんの裸見ようってんなら俺が許さねぇ。」
そこまで言って初めて近藤は自らの刀に手を掛ける。だがそんな近藤を見て東城はフッと笑みを零した。
東城「世迷い言を。私はただ若の成長を記録しに来ただけです。」
そう言って東城は懐へと手を忍ばせ、持参したビデオカメラを出した。それを見た近藤は、雷に打たれたような衝撃を受けて叫ぶ。
近藤「ビ、ビデオカメラだとォォォォォ!?」
東城「柳生家での温泉旅行。こんな絶好の機会はありませんからね。」
近藤「俺は真選組での慰安旅行だと思って…ぬかった…!」
くずおれる近藤。そんな近藤に東城が浴びせた言葉は勝者の悦でもなければ敗者に対する罵声でもなかった。
東城「貴方、それでもストーカーですか?」
近藤「!?」
その言葉を受けて顔を上げる近藤。東城の言葉の意味が読み取れない。