第112章 裸の付き合いで歩み寄るのは心。
脱衣所へと足を向けた女性だが、何か思い出したように顔だけ振り返って葵咲達へと言葉を掛ける。
「ああ、外の無粋な輩は私が何とかしてあげるわねん。女九人水入らず、楽しんで♡」
葵咲「?」
その言葉だけを残して女性は温泉から出て行った。女性の背を見送りながら、そよ姫がポツリと言葉を零す。
そよ「あの方も旅行でしょうか。」
九兵衛「女性の一人旅は危険だな。」
場所が場所なだけに女性の身を案じる九兵衛。だがそんな二人の会話を聞いていた日輪がクスリと微笑を零す。
日輪「あら、こんな秘境の地に来てらっしゃるんですもの。良い殿方と一緒なんじゃない?」
その言葉に妙がまたもやイラッとする。抜群のプロポーションを持つ女性が男性と旅行。勝ち組とも言えるようなその女性に嫉妬心が浮かぶ。
葵咲には苛立ちはなく、羨ましいという気持ちが浮かんだ。
それぞれが独自の感情を抱える中、何かに気付いたように猿飛が隣で湯船に浸かっていた薫へと言葉を掛けた。
猿飛「っていうか、何かアンタとキャラ被ってない?」
薫「私の方が先よん。」
猿飛「あ、ごめんなさい?アンタはあんなスイカップじゃなかったわね。」
何とも思っていなかった脇だが、猿飛の言葉に苛立ちを覚えた。