第111章 酒を酌み交わす事の意義。
そんな温かな空気に包まれる二人から遠からず近からずの場所で、将軍は一人酒を嗜んでいた。輪に入れず孤立しているわけではない。隊士や柳生家一行、かまっ娘倶楽部面々に散々絡まれた後の一人酒だ。
将軍は至極満足した表情で周りの情景を眺めていた。そんな彼に話し掛ける一人の人物が。
「“新しい隊士の人”?」
茂々「!」
見上げると、そこには元御庭番衆筆頭、服部全蔵が立っていた。将軍は何かを懐かしむかのような穏やかな表情で服部へと目を向ける。だがやがてフッと笑みを零し、目を瞑って服部の問い掛けに答えた。
茂々「…今日だけ特別参加中の将ちゃんだ。」
服部「そうかぃ。“初めまして、将ちゃん”。一緒に飲んでも構わねぇか?」
茂々「ああ。」
そう言って服部は将軍の横に腰を下ろす。そしてお互いが酒を注ぎ合いながら笑顔で語り始めた。
服部「良いお仲間さんに恵まれてるみたいで。」
茂々「余には勿体ないぐらいだ。」
将軍の答えに、服部はフッと笑みを零した。