第12章 個人情報は何処からか流出する。
葵咲「私は、土方さんの居る、真選組が好きです。鬼の副長って呼ばれてても、皆にそうやって恐れられてても、皆のこと、真選組の事を一番に考えてて。不器用だけど、優しくて、仲間思いで…そんな土方さんがいる、土方さんが守っている真選組が好きなんです。土方さんは、真選組にいなくちゃいけない人なんです。」
伊東「…だからといってどうするつもりだ?彼が無期限の謹慎処分なことに変わりは無い。」
葵咲「彼が、こうなるに至った経緯には何かわけがあるはずなんです。伊東さん、貴方は土方さんとライバル関係にあると聞きました。土方さんの事、私なんかより知ってるんじゃないですか?最近の彼は、様子が変だって思ったでしょう?」
伊東「さてね。正直に言おう。僕は彼が嫌いだ。周りが僕達のことをどう言っているかは知らないが、僕は嫌いな人間の事など知らないし、知りたくもない。ましてや、今回の件について、どういった経緯があるかなんて興味もない。何かあったとしたって彼が局中法度を犯したことに変わりはないんだ。それを経緯を探って、その経緯次第で対応を変えていたら、他の隊士に示しが付かないだろう。」
葵咲「それは…そうですが…。」
眉を寄せて、下を向く葵咲。そんな葵咲に伊藤は手を差し伸べる。
伊東「理解してくれるね?」
その手を見て、ひと呼吸置いてから応える。
葵咲「…分かりました。でも…私は貴方の秘書にはなりません。」
顔を上げて真剣に返す葵咲に対して、伊東も差し伸べていた手を下ろし、表情を冷たくする。
伊東「・・・・・。そうか。実に残念だよ。君は賢い女性だと思っていたが僕の思い違いだったようだ…。」
葵咲「・・・伊東さん。一つだけ、いいですか。」
伊東「何だね?」
葵咲「伊東さんは何故、真選組にいるんですか?」
伊東「!」