第12章 個人情報は何処からか流出する。
伊東「意外だったよ、沖田君。君が僕の側についてくれるとは。君らは真選組結成前からの付き合いだと聞いていた。君は完全に土方派だと思っていたが。」
総悟「土方派?そんな派閥があったの今の今まで知りやせんでしたよ。」
伊東「フフ…賢い男だ。望みは何かね?」
総悟「勿論、副長の座でさァ。」
伊東「フッ…僕につく限りその望み果たす事約束しよう。」
総悟が去ったのと入れ違いに、伊東の前に葵咲が現れた。いつもの朗らかな表情とは違い、とても真剣な顔つきで伊東に話しかける。
葵咲「伊東さん。」
伊東「!…これはこれは。土方君の件は残念だったね。君は土方君の秘書も務めていたと聞いていたから、さぞかし遺憾に思っている事だろう。」
葵咲「・・・・・。」
伊東「彼は無期限の謹慎処分だ。どうかね?今後僕の秘書を務める気はないか?」
葵咲「!」
伊東「君は賢い女性だ。僕の隣に居るに相応しい。単なる女中や勘定方でいるのは勿体ないと思うのだよ。」
その伊東の提案に、葵咲は迷う事なく即答した。
葵咲「お断りします。」
伊東「・・・・・。このまま彼を待っても戻っては来ないよ。悪い話じゃないと思うんだがね。僕の右腕となって働いてくれるのなら悪いようにはしない。」
葵咲「私は秘書になりたくてここに来たわけじゃありません。」
伊東「別に女中をやめろと言っているわけではない。他にもしたい仕事があるなら、その仕事も…」
葵咲は一度深く目を瞑り、そして目を開けて、軽く息を吸い込んでから話した。