第110章 宴会の催し物といえばビンゴ大会。
近藤は新八へと申し訳なさそうな顔を向けていたが、ここで表情改め、不敵な笑みを浮かべて銀時を見据えた。
近藤「それに、今はもう葵咲は松下村塾の生徒(お前の学友)じゃねぇ。真選組の隊士(俺の部下)なんでな。」
銀時・新八「!」
まるで大事な仲間は渡さないと言わんばかりの宣戦布告に、二人は目を丸くする。だがすぐに銀時は目を瞑り、フッと笑みを漏らした。新八もそれに倣うかのように笑顔を作って近藤へと言葉を返す。
新八「これは僕らの仕事なので大丈夫です。近藤さんも葵咲さん達と一緒に宴会を楽しんで下さい。」
近藤「すまねぇ。有難う。せめて俺の分は俺が持って行こう。」
新八「有難うございます。」
そう言って新八から、ひょいっと酒類を取り上げて再び宴会場へと戻る近藤。優しくも頼れる上司の背中。それを見た銀時は心底安心そうな微笑を浮かべる。それを見た新八もまた、ほっとした表情を浮かべた。
そんな二人に、今度は厨房の女将から声が掛かる。
お岩「アンタ達!そろそろお客様がご到着する時間だよ!こっちはいいから玄関に出迎えな!」
新八「えっ、真選組だけじゃないんですか!?」
お岩「今日は団体客が数組入ってるから人手が足りないって言っただろ?聞いてないのかい?」
銀時「マジでか。」
全く聞いていない。仕事内容の詳細についてはお登勢からは話されていなかった。真選組だけでもてんてこ舞いなのに、更に客が来るとは。二人は引きつり笑いを浮かべるしかなかった。