第110章 宴会の催し物といえばビンゴ大会。
先程の非礼を少しでも緩和させる為にも将軍を褒めてみる。だがその言葉に反応したのは将軍ではなく、近くに座っていた土方だった。
土方「フン、たりめーだ。旬な酒のあてぐらい分からぁ。」
(銀時:オメーかよォォォォォ。)
全くいらん世辞だった。
銀時は再び厨房へと頼まれた料理を取りに、宴会場を出る。するとその背を追って葵咲が会場から出て来た。
葵咲「大丈夫?三人だと大変なんじゃない?手伝おうか?」
新八「葵咲さん…!」
救世主の登場。天の助けか。料理を運んで来た新八は葵咲の言葉を聞いて涙目になる。だがそんな三人の背後に近藤が現れ、葵咲の肩をポンと叩いて首を横に振った。
葵咲「近藤さん?」
近藤「葵咲、いいからお前は座ってろ。」
葵咲「え、でも…。」
流石に二人を放ってはおけない。葵咲は近藤と新八達の顔を交互に見やって心配そうな顔を浮かべる。だがここで会場から葵咲へとお呼びが掛かった。
そよ「葵咲さーん!一緒に写真撮りましょうー!」
神楽「キサキサー!早くこっち来るネ!」
近藤「ほら、姫様達が呼んでるぞ。」
葵咲「あ、はーい!ごめんね!」
姫様に呼ばれては無視するわけにはいくまい。仕方なく葵咲は会場の方へと返事を返し、銀時達に両手を合わせて頭を下げた。去り行く葵咲の背を見て、新八は心配そうな顔を浮かべる。救世主が立ち去った事に関する残念な気持ちは一瞬で吹き飛んでいた。
新八「慰安旅行の幹事も大変そうですね。」
近藤「ああ。あのとおり、葵咲(あいつ)はすぐ働いちまうのが悪い癖だ。だからこういう席でぐらい、ゆっくりさせてやりてぇんだ。新八君達には悪いが。」
先程 近藤が首を横に振ったのは、決して銀時達に嫌がらせをしたかったわけではない。ただ純粋に葵咲を心配していたのだ。その事が分かった新八は自然と顔が綻びる。