第110章 宴会の催し物といえばビンゴ大会。
悲運の星の元に生まれた将軍。彼の犠牲を経て夕食の宴に…と、その前に。葵咲が何やら大きめの箱を抱えて司会進行の壇上に立った。
葵咲「夕食に入る前に、食前菓子を用意しました~!」
銀時「食前菓子って何。食後のデザートの方が良いんじゃないの。」
至極的確なツッコミである。食前酒ならぬ食前菓子。物によっては胃がもたれて折角の晩餐が台無しになりそうだ。だがそんな銀時のツッコミに葵咲は真面目に答える。
葵咲「そう思ったんだけどね、後にすると皆酔っ払っちゃうだろうなと思って。」
新八「なるほど。」
これ程の大規模な宴となれば、無礼講は必須。皆酔い潰れてお菓子どころではなくなってしまうだろう。容易に想像のつく光景に、銀時と新八は納得した姿勢で頷く。そして葵咲は持参した箱を空けて皆に見せた。
葵咲「シュークリームを作ってきました~!」
「おぉ~!」
手作りシュークリーム。その出来栄えの良さに皆は歓喜の声を上げる。大きさは少し小さめ、一口・二口で食べられるサイズだ。これなら食前に食べても問題ないだろう。そして葵咲はシュークリームの箱を抱えながら、右手人差し指を立てて皆に笑顔を向ける。
葵咲「ちなみにこのシュークリームには、ひとつだけ激辛が混じってます。」
所謂ロシアンルーレットである。ひとつだけ激辛、ひとつだけハズレ。これもまた宴会の醍醐味である。だが葵咲の説明を聞いて、一人だけ異議を唱える者がいた。
総悟「逆の方が良かったんじゃないですかィ。一つだけノーマル。」
土方「やめろドS。」
その意見には土方が冷静なツッコミを入れて制した。