第109章 旅は道連れ世は情け。
来てしまったものは仕方がない。こうなっては淡々と接客業をこなすのみ。新八はマニュアル通りお客様の荷物を運ぶべく、玄関先の空きスペースを指しながら案内を促す。
新八「では荷物お運びしますのでこちらに…。」
ドサドサドサ。
言い終わる前に隊士達全員が一切の遠慮なく荷物を積んでいく。
土方「悪ィな。」
総悟「おぅおぅ、お客様の荷物だ。丁重に扱えよ。」
誰一人として断る者はいない。何なら小さな手荷物まで置いていく始末。そんな横柄な態度にまたもや銀時は怒りを噛みしめる。
銀時「ぐぬぬぬぬ。」
新八「ぎ、銀さん、落ち着いて下さい。」
爆発しそうな銀時を宥める新八。だがとうとう銀時は怒りの言葉を口にした。
銀時「誰だァァァ!!こんなドデケェ荷物持ってきた奴はァァァァァ!!常識ってもんがねーのか!海外旅行じゃねーんだよ!!」
一つだけ途方もなく大きな荷物があった。かなり大きなコロコロ鞄。海外旅行でもヨーロッパに行くぐらいの、ニ~三週間分は詰め込めるサイズだ。たかだか一泊二日の国内温泉旅行に用いる鞄ではない。
銀時のツッコミはもっともなものだが、そのツッコミに対して挙手する人物は・・・・
茂々「すまない。余とそよの分をまとめている。」
(銀時:将軍かよォォォォォ!!)
一瞬で顔色を青に染める銀時。新八の言うとおり、抑えておけば良かった。だが一度発した言葉は戻せない。銀時が冷や汗を垂らして棒立ちしていると、将軍が更に発言を付け加えた。
茂々「将軍家は代々、まとめて大荷物派だ。」
銀時「いえいえ!お二人分でしたらこんなもんです!ささ、どうぞ。」
笑顔で誤魔化すしかない。銀時は頭を掻きながら将軍&そよ姫の荷物を受け取った。