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銀魂 - 雪月花 -

第109章 旅は道連れ世は情け。


葵咲「私達は慰安旅行で来たの。」

新八「え?あの、慰安旅行って…真選組の?」


てっきりスノボの時やキャバクラの時と同じく、将軍の警護で訪れたのだと思った。だが自分達の慰安旅行と言い張る葵咲は、至極わくわくした表情を浮かべている。将軍の警備時のような殺伐とした(?)雰囲気はない。
新八は目を瞬かせながら状況を読み取ろうとするが、どう見てもやはり輪の中には将軍がいる。その事について尋ねようとするが、それよりも先に土方が煙草の煙を吐き出しながら新八の肩にポンと手を置いた。


土方「くれぐれも俺達がここにいる事、口外すんじゃねーぞ。」

新八「いや、あの、そちらの方って…。」


将軍様ですよね?
だがよくよく見ると将軍はいつもの着物ではない。将軍も真選組の隊服を着用している。それについても尋ねようとするが、新八が発言するよりも先に、総悟が言葉を発する。総悟はポケットに手を突っ込んで風船ガムを膨らませながら新八の横を通り過ぎて館内へと足を踏み入れた。


総悟「今日だけ特別参加の新人でさァ。」


総悟の言葉を聞いた葵咲が話の続きを勝手に請け負い、気になるその人物について右手を添えて紹介を始めた。


葵咲「あ、紹介するね。今回だけ特別参加の…」

茂々「将ちゃんだ。」


キリッとした表情で自己紹介を行なう将軍…もとい、将ちゃん。そんな将ちゃんに冷ややかな視線を送るのは銀時だ。


銀時「いや、将軍様だよね?」

茂々「将ちゃんだ。」

新八「さっきから会話が一歩たりとも進んでないんですけど。」


頑なに“将ちゃん”で通そうとする将軍には新八も呆れ顔。そんな二人を納得させるべく出て来た葵咲の次なる発言は…。


葵咲「じゃあ“しーちゃん”で。」

茂々「しーちゃんだ。」


葵咲に促されて将軍もノッてみる。だが大して変わらないどころか、むしろ ある意味殺伐とした空気を孕む呼称に、銀時は眉根を寄せた。


銀時「シノアみたいな言い方やめてくんない。獅鎌童子の方がよっぽどこえーよ。」


終わりのセラフにて、シノアが獅鎌童子を呼ぶ際の呼称である。はっきり言って怖い以外の何物でもない。世界が終わりそうだ。
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