第109章 旅は道連れ世は情け。
将軍の姿を見付けた三人は、入口付近の廊下から覗き見る形のまま、出て行くに行けない状態でいる。そんな銀時達の姿を見付けた女将が、その背をバシッと叩いて押し出した。
お岩「こんなところで何ぼさっとしてるんだい!早く出な!いらっしゃいませ~!今日から皆様のお世話はこの子らがしますので。」
新八「わ、ちょ!!」
半ば強引に紹介された銀時達。隠れる場所はない。紹介を受けた三人を見て、葵咲だけが至極嬉しそうな顔を浮かべて歩み寄ってきた。
葵咲「あれ?銀ちゃんに新八君!?それに神楽ちゃんも!」
神楽「キサキサ~!」
葵咲「こんな旅先で会えるなんて凄い偶然だね~!」
神楽と葵咲は両手を合わせて再会を喜ぶ。ちなみに葵咲は隊士の制服を着用。戦闘はないと見てスカートを選んでいる。真選組として慰安旅行に参加するのだ。隊服着用は当然といえば当然なのだが、新八としてはあまり見慣れていない服装(ミニスカ)に、少しドキドキした感情を抱いていた。
嬉しそうに跳ねる二人に対し、近藤は少し驚いた表情を浮かべて万事屋三人を指差す。
近藤「なんでオメーらがここに?」
と、ここまで発言したところで、近藤は何かに気付いたように頬を赤らめて目を見開く。
近藤「って事は…まさかお妙さんも…!?」
今回ばかりはストーキングではない。遭遇を狙ってきたわけでもない。幹事は葵咲。近藤は直前まで行先すら知らなかったのだ。本当に偶然の産物。たまたま旅行先で好きな人と出会える奇跡。やはり妙は運命の人に他ならないのだと、そんな事を思う近藤。
だが浮かれる近藤に、新八は冷たい鉄槌のような言葉を下す。
新八「いえ、僕ら三人です。万事屋の仕事で来たので。」
この場に妙がいない事を知った近藤はシュンとする。そんな近藤はいつもの光景と見慣れたのか、葵咲は近藤を無視して自分達の事を語る。