第108章 心霊スポットには身代わり人形が必須。
葵咲に任せると話を飛躍し兼ねない。そう思った土方は、自分が事の成り行きを説明する事を請け負う。全ての事情を聞いた松本は、納得したように頷いた。
松本「なるほど、そういう事ですか。」
だがここで松本は再び土方の方へと目を向けて眉根を寄せる。
松本「大丈夫ですか?松平長官の許可なしに先に話を進めて。」
土方「・・・・・。」
それは土方の思うところでもある。いや、むしろ土方としては松平から許可が下りない事を願っている。はっきり言って面倒臭い。いや、面倒だけではすまない。相手はあの将軍なのだから。
松本の言葉を受けながらも、土方は唸るように思考を巡らせる。
(土方:とっつぁんの許可が下りねぇような申請の文言考えるか…。)
と、そこで土方の携帯電話が突如鳴り響いた。土方は携帯を取り出して着信画面を見る。
土方「げっ!」
相手は松平片栗虎だった。嫌な予感がする。間違いなく慰安旅行の件だろう。だが電話に出ないわけにもいかない。仕方なく土方は電話に出た。様子を見ていた松本も土方の電話へと耳をそばだてる。
土方「…もしもs…」
松平「将ちゃんの事、宜しく頼まぁ。」
ブツッ。ツー、ツー…。
それだけ言って松平は電話を切った。
松本「…許可、下りたみたいですね。」
土方「・・・・・。」