第107章 自分の為に頭を下げてくれる人には心惹かれるものがある。
葵咲の言葉を聞いて、そよ姫は笑顔を浮かべる。そして何かを思い付いたように姫は輝かせた瞳を葵咲へと向けた。
そよ「そういえば真選組には新しい方が増えたんですよね?」
葵咲「短え…専属医の松本先生の事でしょうか?」
そよ「その方の歓迎会も兼ねて盛大に、で、どうでしょう?そうすれば私達が同行する理由にもなるんじゃないかと。」
葵咲「それは名案です!」
パン!と両手を叩いて提案するそよ姫に、葵咲は笑顔で賛成。女二人でキャイキャイと盛り上がる旅行話。何とか二人の勢いを止めようと、土方が二人に割って入ろうとする。
土方「名案どころか明暗じゃねーか!一寸先は闇だろーが!」
だがそんな土方の横槍も玉砕に終わった。二人は土方を無視して話を続ける。
葵咲「お二人は行先のご希望とかありますか?」
土方「ちょ!おい!勝手に話進めんな!!」
そよ「えー何処が良いでしょう。兄上様は?ありますか?」
ここまでは女子二人でのマシンガントークだったが、ふと二人は将軍へと目を向ける。会話について行けずに置いてけぼり状態だった将軍だが、意見を求められて会話に加わる事に。将軍は顎に手を当てながら自らの意見を述べた。
茂々「そうだな、折角の機会。この国の文化を十分に楽しめるところが良いな。」
そよ「良いですね。そうなれば市井の人達が普段どんな旅行をしてるのか調査するという名目にもなるかも。」
将軍とそよ姫は頷き合う。そんな二人の姿を見て葵咲は立ち上がった。
葵咲「承知しました!それでは一番隊隊士、市村葵咲が責任をもって計画させて頂きます!」
土方「ちょっと待てェェェェェェェ!!」
そんなこんなで、将軍からの慰安旅行の申し出を葵咲が勝手に引き受けた。