第107章 自分の為に頭を下げてくれる人には心惹かれるものがある。
葵咲「…分かりました。打首に準ずるその処罰、私が謹んでお引き受け致します。」
土方「そう。謹んで引き受け…って、ハァ!?お前、何言って…!」
茂々「!」
全く想定していなかった言葉が出て来た事で思わずノリツッコミの二度見。土方は将軍へと向けていた瞳を葵咲の方へと向ける。そんな土方には構わず、葵咲はたくまし気な表情を浮かべて続ける。
葵咲「要するに、上様が上様って分からないように一緒に慰安旅行に行ければ良いって事ですよね?上様が真選組隊士の服を着て、一緒に出掛けるのは如何です?」
右手人差し指を立てながらなされる提案。将軍の方もまさかそんな提案がされるとは思っていなかったのか、きょとんとした顔つきで言葉を失っている。そしてその隙をついたかのように土方が言葉を挟んだ。
土方「いや、そんな事して もしもの事があったらどうすんだよ!」
葵咲「そりゃ勿論もしもの事がないよう綿密な計画を立てて、ですよ。」
土方「起きてからじゃ遅ぇんだよ!」
頭の固い土方に、葵咲はムスッとしたふくれっ面を浮かべる。だがここは土方としても簡単には引き下がれないところ。二人が睨み合っていると、ここでそよ姫が立ち上がって言葉を挟んだ。
そよ「そうですよ!そんなの許されません!」
土方「ほら!姫様もこう言って…」
姫は常識人だったか。味方の登場に土方は葵咲を納得させるべく姫からの言葉を引き継ごうとする。だが次にそよ姫から出て来た言葉は土方の意に反するものだった。
そよ「なんで兄上様だけなんですか!私も入れて下さい!」
土方「そう、姫様も…ってハァ!?ちょ!」
味方どころか敵だった。敵陣への参戦に土方は狼狽する。一方葵咲は、そよ姫からの言葉に慌てて同意と謝罪を示した。
葵咲「あ、そうですよね、すみません。ではお二人を含めた企画を。」