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銀魂 - 雪月花 -

第107章 自分の為に頭を下げてくれる人には心惹かれるものがある。


翌日。
葵咲は土方と共に将軍様の元へと向かう。葵咲はこの日は隊服を着用している。将軍の元へと向かう公務。しかも葵咲は切腹を覚悟している。その覚悟の表れからか、ショートパンツを選んでいた。決戦の地へ赴くような顔つきの葵咲。画風で言うなら北斗の拳ばりの気迫に、土方は少し呆れ顔だ。

そんな道中。葵咲の気持ちが落ち着いた頃合いで、土方は少し意外そうな顔を浮かべながら葵咲へと話し掛けた。


土方「けど珍しいな。お前が大事な仕事忘れるなんて。」

葵咲「申し訳ありませんとしか言いようが…。」

土方「あ、いや、嫌味とかそんなんじゃなく。」


酷く落ち込んだ様子で首を垂れる葵咲を見て、慌ててフォローを入れる土方。確かに先程の土方の発言は捉え方によっては嫌味に聞こえなくもない。ましてや基本マイナス思考の葵咲。そんな葵咲の性格を知っている土方は、『上様からの大事な仕事忘れるなんてありえなくね?』等の意味に捉えられたと察したのだ。
だが土方が言いたかったのはそういう嫌な意味合いではなく、純粋な心配。土方は葵咲の顔を覗き込みながら心配そうな顔を向ける。


土方「何かあったのか?」

葵咲「えっ!?…っ!」


突然覗き込まれた事で近付く顔。土方の顔を見て葵咲はボンッと赤面する。様子のおかしな葵咲に、土方は疑問符を浮かべた。


土方「?」

葵咲「いや!別に!?」


慌てて葵咲は土方から顔を背ける。心の内を覗き込まれそうで怖かったのだ。葵咲は土方に背を向けながら両手で頬を押さえる。


(葵咲:土方さんの事が気になって仕事が手に付きませんでした、なんて言えない!!)

土方「??」


またもや変な行動を起こす葵咲に土方は片眉を上げた。だが少しの間を置き、土方は申し訳なさそうな顔を浮かべながら言葉を紡ぐ。
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