第106章 観光は親しい相手とするからこそ楽しめる。
山崎「俺達や見廻組の連中で聞き込み調査も行なったんですけど、『先生がそんな事するはずない!』、『間違ってるのはお前らだ!』って取り乱したり暴れたりで、もう大変で…。」
近藤「まぁ折角見込めた土地開発がおじゃんになったとありゃ、それも仕方ねぇか。」
松本「それにしては、ちょっと異様な気がしましたが…。」
現地では大きな工場が出来た事で土地開発も進み、タクシーが増える程人口も増えていた。今後観光客や移住民が増える事で経済も発展の見込めていた。それが崩されたとなると期待をしていた人間は憤怒する事も仕方のない事だろう。それが近藤の見解だった。だがそれに対して松本は更に難しい顔を浮かべる。
あまり納得した様子ではない松本だったが、なおも唸り続ける彼をよそに、話を切り替えて近藤は山崎へと向き直る。
近藤「とっつぁんへの報告は?」
山崎「見廻組からするって言ってましたよ。まぁ今回の件は元々 見廻組が預かってた案件ですしね。」
近藤「そうか。となると上様へも見廻組側(そっち)から上がるか。」
そこまで話したところで、近藤が何かを思い出したようにパッと顔を上げて土方へと視線を送る。
近藤「…あ。そういやトシ、あの件どうなった?」
土方「ん?」
近藤「上様から直々に預かってた件があっただろう。それについて上様が明日にでも話したいって言ってたって、とっつぁんが。」
土方「あぁ。」
近藤に言われるまですっかり忘れていたという様子の土方。宙を仰ぎながら試案するように視線をよそに向けた。