第105章 備えあれば憂いなし。

翡翠の優しい言葉に、玲央は尚更申し訳なさそうな顔を浮かべて首を垂れた。そして紗羅が気になっていた事を口にする。


紗羅「緒方は？」

翡翠「彼は捕まってしまったようですね。紅蓮達が駆け付ける前に搬送されてしまったようです。」

紗羅「どうするの？」

翡翠「薬は完成したんです。彼の助力はもう必要ないでしょう。」


どうやら緒方の事は薬品開発の為に利用していたといった様子。目的を達した今、緒方は切り捨てる方向らしい。他のメンバー達も緒方には特に執着がないのか、翡翠の言葉をすんなり受け入れた。

そして翡翠は玲央と紗羅に向き合いながら質問を投げ掛ける。


翡翠「それより、地球の侍はどうでした？」

玲央「けっ！あんな奴らどーって事ねーよ！今回はちょっと油断し…」

紗羅「侮れない。注意。」

玲央「おい！紗羅！」


どうって事ないと発言する玲央は明らかに単なる強がり。そんな強がりを遮って紗羅は冷静な報告をする。二人の性格を知っているのか、翡翠は特に掘り下げる事もなく、紗羅の言葉を受け取って頷き、右手を顎に当てて空を仰いだ。


翡翠「そうですか。…私達の薬の精製も急いだ方が良さそうですね。華音が戻ったら、会議をしましょうか。それに…“彼”にもそろそろ話を通さないといけません。」