第104章 第百四訓 「真剣勝負にドーピングは邪道。」
数日後。
葵咲「結局、鐡の二人から情報引き出せなかったですね。」
近藤「逃げられちまったもんは仕方ねぇ。まぁ今回は俺達も村の連中も全員無事だったんだ。それだけで良しとしよう。」
葵咲「そうですね。」
奇跡的にも今回事件に関与した人達に死者は出なかった。桂が斬りつけた異形種に変えられた人も、怪我は負っていたものの、変えられた姿が象にも似た大型の異形種であった為、割と浅い傷ですんでいたとの事。
屯所内の廊下を並んで歩く二人。
そんな二人を見付けた土方が、背後から葵咲へと呼び掛ける。
土方「おい葵咲。ちょっと俺の部屋に来い。」
振り返って土方の顔を見上げると、至極ご立腹な様子。これはお説教が待っているな。いや、説教だけで済めば良いが…。
そんな事を考えながら、葵咲はおずおずと返事を返した。
葵咲「…は、はい。」
近藤「・・・・・。」
土方が不機嫌な様子は近藤にも分かった。近藤は心配そうに二人の背を見送る。