第104章 第百四訓 「真剣勝負にドーピングは邪道。」
佐々木「…市村さん、貴女は…その道で良いんですか?」
葵咲「え?」
突然投げ掛けられた質問に、葵咲は目を丸くする。質問の意味が分からない。話の脈絡を見出せず、葵咲は言葉を詰まらせた。佐々木は葵咲から目を反らして頭を振った。
佐々木「…いえ、何でもありません。」
葵咲「?」
葵咲がきょとんとしていると、一人の見廻組隊士が慌てた様子で駆け付けてきた。
「局長!!」
佐々木「なんですか?騒々しい。」
「それが…!海賊の連中に…逃げられました!!」
葵咲・佐々木「!?」
報告を聞き、佐々木と葵咲は急いで鐡二人を捕らえていた場所へと向かった。葵咲達が慌てて駆け行く姿を見た近藤達もまた、その様子が気になって治療を一旦やめて、二人の行く先へと向かう事に。
現場には、心ここにあらずといった様子の見廻組隊士が二人。一人はぼーっと空を仰ぎ、もう一人はブツブツと『スイカが一つ、スイカが二つ…。』と呟いている。様子がおかしい二人を見て、葵咲と佐々木は顔を見合わせた。この場に駆け付けた誰もが状況を読めず、小首を傾げるしかない状況だ。少しモヤモヤしたものが残る事件の収束となった。
事件後の工場調査として、元より直接任務を授かっていた佐々木や信女、見廻組は勿論のこと、松本と山崎も一緒に現地に残って調査の手伝いをする事になった。
大勢残っていても仕方がないという事で、二人を残して近藤、土方、葵咲の三人は先に帰る事に。桂は事件後そのまま行方をくらまし、銀時は新八と神楽を連れて江戸に帰る事にした。