第104章 第百四訓 「真剣勝負にドーピングは邪道。」
身柄を預けられた見廻組隊士二人は、まだ状況を把握出来ていない様子。鐡の二人を見下ろしながら頭を掻いた。
「こいつらどうするんだ?」
「江戸に連行して事情聴取って聞いたよ。この子らが主犯らしい。」
「こんなガキ二人が?」
「子どもでも天人。油断するなってさ。」
二人がそんな会話をしていると、彼らに近付く影が。
その気配に気付いた隊士達は、その人物へと目を向ける。そこにいたのは女性。妖艶な雰囲気を漂わせ、ヴェールのようなマントを纏った巨乳の女性だ。男女問わず、思わず胸へと目がいってしまう程のスイカップ。深くマントを被っていて顔は分からないが、大きく美しい瞳や目元の化粧(けわい)を、その隙間から覗かせていた。女が近付くと、フワァッと何やら良い香りがした。
「?」
隊士達の目は、とろんとなる。少しぼーっとした二人の様子を見て、女はクスリと微笑み掛ける。
「カッコイイお兄さん達♡ その子達なんだけど、私に渡してくれなァい?」
女はヴェールの隙間から隊士達の目をじっと見つめる。暫く女と目を合わせていた隊士達は、突如目をハートにして答えた。
「はい♡」
女は隊士達から玲央と紗羅の身柄を預かり、その場を立ち去る。少し歩き、隊士達の目の届かない場所まで来ると、腕組みしながら女を待つ男の姿があった。
紅蓮だ。
紅蓮と顔を見合わせた女は少し呆れたような笑みを漏らす。
「まーったく、手間の掛かる坊や達ねぇ~。」
紅蓮「お前を連れて戻ってきて正解だった。助かった、同行感謝する、瑠香(ルカ)。」
瑠香「フフッ。これぐらいお安い御用よん♡」
そうして鐡はこの場を立ち去った。