第11章 情けは他人の為ならずって諺は、結局は自分の為になるって意味。
押入れの中でしゃがみながらも土方は抜刀する。そして葵咲を背に庇った。
土方「市村!お前は下がってろ!!」
葵咲「土方さん…。」
その時、総悟の叫ぶ声が聞こえてきた。
総悟「葵咲姉ぇェェェェェ!!」
葵咲「そーちゃん!それに近藤さんも!」
近藤「お前ら!無事か!!しかしこの数は…!!」
近藤と総悟は土方達のもとへと辿り着いた。そしてそこで目の当たりにした、あまりの数のキメラアントに怯むのだった。近藤と総悟も刀を抜き、構えたところで、キメラアントの一匹が口を開いた。
「アノ…チョットイイデスカ…?」
四人「!?」
近藤「うぉぉぉぉぉ!?喋ったァァァァァァ!!!!!」
「私達、貴方達ニ、危害加エルツモリ、ナイデス。」
四人「・・・・・え?」
全然状況が把握出来ない四人は、その場で固まった。
「先週、ソコノ女性ニ息子ヲ助ケテ貰ッタノデ、ソノオ礼ニ、一家総出デゴ挨拶ニト…。」
四人「・・・・・。ええぇぇぇぇぇ!?」
近藤「いや、だってニュースでやってたじゃん!!キメラアントが出たって!明かりが苦手なのに光直接当てられたから怒って仲間連れてきたんでしょォォォ!?」
「ア、僕達キメラアントジャナインデ。」
そう言う異形の姿の生物は、ニュースで流れていたキメラアントと瓜二つの姿かたちをしている。
近藤「いや、どう見たってニュースで流れてたキメラアントと一緒だよね!?」
「僕ラ、キメラビーッテ天人デス。似テルンデ地球ノ方ニハ、ヨク間違エラレルンデスケド。」
四人「・・・・・・・・・・。」
四人はあっけに取られて佇む。言われてみてよく見てみれば、確かにいくつか相違点があった。テレビで報道されていたキメラアントには羽根は生えていなかったが、この自称キメラビーには羽が生えている。それにお尻(昆虫なので腹というべきなのだろうか。)の部分は蜂のような黄色と黒の縞模様になっている。停電の為、よく見えていなかったが、目を凝らして見れば、色も違っていた。キメラアントは赤黒い色合いだったが、このキメラビーは黄色である。