第104章 第百四訓 「真剣勝負にドーピングは邪道。」
- 新八サイド -
山崎からの提案を受け、その案に納得したのは新八のみ。新八と山崎は真剣な顔を見合わせて頷き、長谷川の肩を叩いた。
新八「もう山崎さんの言う方法しかありませんよ。覚悟を決めて下さい、長谷川さん!」
長谷川「覚悟を決めろってお前!もう強制じゃん!やらされる選択肢以外見えないんだけどォ!?」
長谷川は半ば強制的にタクシーの運転席に座らされている。運転席のドアは開けっ放しだが、山崎と新八が立ちふさがっていて出られない。
山崎の提案はこうだ。
“塔にタクシーを突っ込ませる”。
確かにこれなら破壊出来るだろう。勢いよくアクセルを踏み込んで、ぶつかる直前に長谷川は運転席から離脱、そんな計画を持ち掛けて来たのだ。
長谷川にとっては、たまったもんじゃない。折角ありつけた定職を失う事になるだろう。しかも会社の車をお釈迦にしたとあれば、弁償させられる可能性も秘めている。長谷川は無理矢理運転席に座らされたものの、アクセルを踏み込む事を断固として拒否していた。
ちなみにこの場所までは山崎が運転して階段を駆け上がってきた。だが、最後のひと踏みは持ち主に踏ませるべきだと考えたらしい。そんな山崎が長谷川へと詰め寄る。
山崎「早くして下さい!このままやられちゃったら職どころか命を失いますよ!?」
長谷川「…~~~っ!あーもう、わーったよ!やりゃあ良いんだろ!?やればァァァ!!」
もうどうにでもなれ!半分やけくそになって長谷川は全力でアクセルを踏み込んだ。
長谷川「どりゃァァァァァ!!」