第103章 世界は広い。
- 銀時サイド -
一方銀時達も玲央相手に苦戦を強いられていた。力、スピード、全てにおいて玲央が上回っている。銀時と近藤という二人がかりでもだ。何か打開策になる戦法や、相手の弱点はないものか。二人は攻撃を防ぎながら目を凝らしてそれを探す。
そんな二人の考えを読み取っているのか、玲央はクククっと笑いながら更に二人を窮地に追い込む言葉を掛ける。
玲央「悪ィな、手加減出来なくて。言っとくけど、俺の能力はこれだけじゃねーからな。」
近藤「?」
玲央「華音に会ったんなら知ってんだろ?俺達には特殊な能力があるって事をよォ。」
銀時「!?」
その言葉にハッとなる銀時。華月楼での事を思い出した。華音と目を合わせた瞬間、視界が真っ白になった。そして小突きと共に意識を異次元へと飛ばされた事を。銀時は慌てて近藤へと呼び掛ける。
銀時「おい!奴の目を見るな!」
近藤「?」
玲央「遅ぇーよ。テメーらの奥底に眠る欲望を引き出してやる。」
銀時・近藤「!?」
華音の時と同じく、異次元(夢の世界)に誘われるかと構えた。だが二人が構えるよりも先に玲央は二人の間合いへと入り込んで無理矢理顔を覗き込む。そして玲央は順に二人と目を合わせた。
玲央「鬼は欲望が大好きなんだ。その欲望を食らわせろよ。」
近藤「それまた別のやつだよね!?鬼呪装備の黒鬼シリーズだよね!?つーか自分の事鬼って認めちまってっけど!!」
玲央のそれは終わりのセラフのソレだ。それを近藤は思わずツッコむ。だが玲央はそんな指摘には構わずニヤリと笑った。
玲央「んなツッコミしてられんのも今のうちだぜ…!」
言い終わると同時に玲央は両手をパンと叩く。次の瞬間、銀時達の視界が揺らいだ。二人はよろめきながらも何とか倒れずに持ち堪え、額や頭を押さえながら意識を保とうとする。
そんな二人の抵抗を見ながら玲央は、ケラケラと笑いながら両手を広げて自らの能力について語り始めた。
玲央「なぁに、怖がるこたァねぇ。ちょいと理性という名の箍を外してやるだけさ。テメーらの中にある悪しき欲望、それを引き出す為にな。」
銀時・近藤「ぐっ…!」