第103章 世界は広い。
紗羅の横をすり抜けた男三人だったが、その様子を見た松本が足を止めた。
松本「!」
桂「何をしている!松本殿!」
急に立ち止まる松本に、反射的に桂も足を止めた。そして振り返って松本に立ち止まらぬよう促す。だが松本は桂へと視線を合わせて首を横に振る。
松本「先に行ってて下さい!すぐに追い掛けます!」
何か意図があっての事だろう。それを察した桂は静かに頷き、先に葵咲の救出へと向かう事にした。松本は少し進んだところで物陰へと隠れて闘いの様子を覗き見る。
紗羅「つまらない女子会、すぐに終わらせてあげる。」
そう言うと同時に、紗羅はフルートの音色を奏で始める。その音色が合図となって異形種達は動き出した。
(松本:笛の音で操っているのか?自我は持って動いているのか、それとも…。)
紗羅と異形種達の動きを注意深く観察する松本。目を凝らしてその動きを追った。
(松本:姿形を変えられ、操っている割には然程強さは感じられない…。それどころかむしろ…。)
松本「!」
そして何かに気付いた松本は、懐から携帯電話を取り出して電話を掛け始めた。