第102章 天才の頭のネジが外れればサイコパス。
- 葵咲サイド -
緒方は葵咲を抱えて工場地下の一室に到着していた。緒方は葵咲を優しく、丁重にベッドの上へと寝かせる。葵咲は薬の効果か、深い眠りに落ちているようだ。そんな葵咲の寝顔を見下ろしながら、緒方は不気味な薄ら笑いを浮かべている。
少しの時間が経ち、緒方の元へ紗羅がやって来た。
紗羅「滞庵。」
緒方「やぁ。先程は任せてしまってすまなかったね。」
紗羅「お安い御用。」
緒方の言葉を聞いた紗羅は、フルフルと首を横に振るう。そして葵咲を指差しながら尋ねた。
紗羅「その娘(こ)、どうするの?」
その質問に緒方はベッドの淵へと腰掛け、にっこり優しい笑みを返しながら答える。
緒方「彼女は素晴らしい血統なんだよ。彼女さえいれば、僕の実験は完成へと繋がる。宇宙最強の種族が誕生するんだ。成功すれば君達にも有益な力となるだろう。…彼女は殺さないようにね。」
紗羅「分かった。」
紗羅の同意を得た緒方は再び葵咲へと視線を落とし、その頬にそっと触れた。