第102章 天才の頭のネジが外れればサイコパス。
- 土方サイド -
今回の事件の黒幕とも言える男、“緒方滞庵”について。今いるメンバーで、その人物像を知るのは同じ医者である松本のみ。松本の発言に注目が集まる。松本は過去を思い返しながらゆっくりと口を開いた。
松本「緒方は…医学の知識が豊富なだけでなく、沢山の人々を救ったという実績もあります。新薬の開発にも携わり、あらゆる功績を残してきた人物です。患者にも同業の医者にも信頼を集める、人望のある方。」
ここまで聞く限りでは緒方は医者の鑑とも言える素晴らしき人物。何を言い淀む必要があるのか。松本の話に耳を傾ける一同は少し怪訝な顔を浮かべ始める。そして少しの間を置き、松本は顔を上げて言葉を紡いだ。
松本「私も彼から知識や技術を得ようと、彼の執刀する手術(オペ)に立ち会った事があります。かなり難しい手術でした。ですがそんな手術で彼は…、薄ら笑いを浮かべていたんです。」
「!」
松本「一瞬の気の緩みも許されない難易度の高い手術。本来ならどんな医者でも真剣な表情となり、手に汗握るような状況…そんな状況下で笑みを浮かべる彼に私は、寒気を感じたんです。」
一瞬でその場に緊張した空気が張り詰める。松本が発言を躊躇っていた理由が分かった。松本の見解を聞き、山崎は唸りながら言葉を返した。
山崎「頭のネジの外れた男って事ですかね。」
桂「実際は人を実験動物のようにしか思っていないのかもしれんな。」
手術についても実験的感覚で行なっていたのかもしれない、そう思われた。その場にいた誰もが緒方は今回の黒幕である事に納得を示す。