第101章 大切なモノは己の手で護り抜け。
信女「緒方という男に…葵咲が連れて行かれた…!」
「!?」
松本「彼は今何処に!?」
信女「工場の奥の方へ。」
土方「チィッ!」
信女の報告を聞くや否や、その場を駆け出そうとする土方。だがそんな土方の腕を桂がガシッと掴んで引き留める。
桂「待て土方!逸る気持ちは分かるが、焦ったところで状況はさして変わらん。むしろその焦りが更なる悪状況を生み出すぞ。今一度、この場で情報を整理してから救出に向かう方が良い。」
土方「っ!」
桂の一言で冷静になる土方。確かにそうだ。焦って向かったところで良い結果は生まれないだろう。
それどころか相手は鐡。足をすくわれる可能性が高い。土方はギリリと歯噛みしながらギュっと拳を握る。焦りと悔しさを噛み締める土方に新八は心配そうな目を向けた。
だがそんな新八の気持ちに水を差すかのように、桂が場にそぐわぬ発言をする。
桂「侍の国。俺達の国がそう呼ばれたのは、今は昔の事だったな…」
新八「第一訓からの整理!?遡りすぎだろーが!オメーはもっと危機感を持てェェェェェ!!」
そしてここで脱線した話を戻す為、佐々木が冷静なトーンで信女へと質問を投げ掛けた。
佐々木「信女さん、彼は…緒方という男は何故市村さんを捕らえたのですか?単なる人質とは思えませんが。」
佐々木の言葉を聞き、他のメンバー達の視線は信女へと集まる。質問を受けた信女は、コクリと頷いて状況説明を加えた。
信女「緒方は彼女の血統が欲しいと言っていた。」
山崎「血!?まさか葵咲ちゃん、鬼舞辻(きむつじ)の血を引いているっていうのか!?」
新八「ちょっと、山崎さんまでボケに回らないで下さいよ。僕一人じゃ捌ききれませんよ。」