第101章 大切なモノは己の手で護り抜け。
- 新八サイド -
天狗村を調査していた新八達もマダオタクシーにて工場へと訪れていた。それは村に現れた人物を追っての事だった。
新八「見失ってしまいましたね。」
松本「ですが、この工場に来たのは間違いありません。そして、ここで作られている薬の発案者も、恐らく“彼”でしょう。」
関係者に見付からないよう、辺りには気を配りながら工場入口で佇む新八達。
その時、近くの茂みでガサガサという音が鳴り響いた。神楽、佐々木、山崎が前に出て松本、新八を背に庇うように立つ。天狗村での事がある、何が出てくるか分からない。五人は何が出てもすぐ対処出来るよう身構えた。
だが、そこから現れたのは見知った顔、土方と桂だった。先程二人が感じた人の気配は新八達だったのだ。茂みに身を隠して様子を伺っていると現れたのが新八達だった為、この場に出てきたというわけだ。
土方「お前ら!」
新八「土方さん!それに…えぇ!?ちょ、どういう組み合わせ!?」
銀時達工場チームの他のメンバーの姿が見当たらないだけでなく、まさかの敵同士のペアに思わずツッコミを入れる新八。
だがそんなツッコミをものともせず、土方は平然と言葉を返した。
土方「利害が一致したから休戦したまでだ。それより何でお前らがここにいる?」
今の状況について問い質したいのは土方も同じ。天狗村や付近の町や村の調査は?それを尋ねる土方。この質問には佐々木が答えた。
佐々木「天狗村の探索を行なっていたら、例の重要参考人が現れましてね。彼を追って来たらここに辿り着いたんですよ。」
土方「!」
例の重要参考人とは葵咲の話していた緒方という男か、そう思った土方は更に気を引き締めた表情を見せる。その男が天狗村へと現れ、ここに流れ着いたとあらば、ほぼ黒で間違いないだろう。
だが気になるのはその緒方という男が松本の知る緒方かどうか、だ。土方は佐々木から松本へと視線を移して問い掛ける。
土方「で、どうだった?」
その質問を受けて松本は真剣な眼差しで頷く。