第101章 大切なモノは己の手で護り抜け。
- 土方サイド -
桂からの決戦の申し出により、土方も刀を抜いた。審判はいない。どちらが促すともなく、二人の目の前をヒラヒラと落ちて来た木葉が その地に着いた瞬間が開戦の合図となる。
二人同時に地面を蹴って互いの間合いへと入り込む。カキーン!という刀の合わさる音が響いた。力はほぼ互角。だが、ほんの少しだけ桂の方が強い。押し負ける事を懸念した土方は、その刀を振り払って後ろへと飛び退く。土方は態勢を整えようとするが、桂はその隙を与えない。再び土方の間合いへと入り込んだ。
土方「っ!」
冷や汗を垂らす土方に対し、桂は至って涼しげな顔を浮かべている。土方は歯噛みしながら応戦した。
桂「どうした?貴様の力はそんなものか?」
土方「てめぇ…。」
桂「その程度の力では葵咲の事など到底護れまい。」
土方「!」
桂「その程度の力であるならば!俺が葵咲を貰い受ける!!」
土方「なっ!?」
桂に煽られ、カッとなる土方。土方は先程よりも強い力で桂の刀を薙ぎ払った。桂はバックステップで攻撃を交わして着地。土方の瞳をじっと見据える。土方はキッと桂を睨み返した後、今度は先程とは比べ物にならないスピードで桂の間合いへと入り込む。
桂「っ!」
土方「寝言は寝て言え。誰がテメーなんかに葵咲(あいつ)を渡すかよ…!」
土方は数多の攻撃を繰り返して桂を押す。桂は攻撃を受けながら後ろへ下がるしかなかった。桂が後ろに飛び退き、着地すると同時に土方は桂の足元を狙う。土方は地に手を付けて桂の足元を掬うように蹴りを入れた。桂は態勢を崩してよろける。
土方はその隙を見逃さず、刀を大きく振り上げて桂の持つ刀を払った。
土方は桂の喉元へと刀を当てる。桂はその場でピタリと止まった。刀は宙を舞い、桂の背後の地面へと突き刺さる。
それと同時に桂は目を瞑ってフッと笑みを漏らした。