• テキストサイズ

銀魂 - 雪月花 -

第100章 頼りになるのは全集中の呼吸。


銀時「こうなったら…やるしかねぇ…。全集中!…糖の呼吸!」

近藤「!?お前まさか…呼吸法を!?」


そう言って身構える銀時の体勢は我妻善逸の構えそのもの。近藤は期待に胸を膨らませながらゴクリと息を飲んだ。そして次の瞬間、銀時はカッと目を見開いて叫ぶ。


銀時「壱の型…“飛脚糖走(ひきゃくとうそう)”!」


銀時は唱えたと同時に、踵を返して先程以上の速度で駆け出した。


近藤「それただの逃亡じゃねぇかァァァァァ!!糖の呼吸、全然関係ねーじゃん!」


想定外の銀時の行動に一歩遅れを取ってしまった近藤だったが、何とか銀時に追い付いてツッコミを入れる。だがそんな近藤のツッコミを銀時は冷静に受け取って静かなトーンで返した。


銀時「“逃走”の“逃”と“糖”とを掛けてるんだよ。」

近藤「上手くねーんだよ!侍らしく戦えよ!!」

銀時「あんな意味不明な化物と戦えるかァァァ!つーかその台詞はお前にも返ってるからね!!」


そして銀時は一呼吸おき、眉根を寄せながら真剣な眼差しで代案を立てる。


銀時「呼吸法が通用しねぇようじゃ、緊急脱出(ベイルアウト)しかねぇな。おい、オペレーターに伝えろ、近藤隊はやむを得ず緊急脱出。」

近藤「オペレーターって誰ェェェ!?さっきとやってる事同じじゃねーか!つーか緊急脱出も出来ねーから!!」


今度はワールドトリガーの世界観そのもの。当たり前のツッコミを入れる近藤に対し、銀時は驚きの表情を見せた。


銀時「えっ?お前“黒トリガー”だっけ?」

近藤「黒トリガーどころかトリガーでも何でもねーよ!トリオン量ゼロだよ!!つーか何で近藤隊って言いながらオメーが仕切ってんだよ!」

銀時「だって俺が隊長だったら俺の責任になるじゃねーか。それに“坂田隊”って言い難くね?」

近藤「どっちにしろオメー都合じゃねーかァァァァァァ!!」


二人が言い争いながら走っていると、前方の気配に気付いた近藤が前を指差しながら、一歩前を走る銀時へと注意を促した。


近藤「! 万事屋!前!前ェェェ!!」

銀時「!?」


近藤からの注意を受けて前に目を向ける銀時。するとそこには銀時達の後を追って飛び降りた玲央が仁王立ちで二人を待ち構えていた。玲央は銀時達の姿を捉えると、ニヤリと嫌な笑みを浮かべた。
/ 1377ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp