第100章 頼りになるのは全集中の呼吸。
その言葉を聞いてフッと笑みを漏らす桂。一時休戦。
桂は同盟を結ぶ為に手を差し出そうとするが、それをするよりも先に土方が更に言葉を付け加えた。
土方「だがその前に、お前に一つ訊いておきてぇ事がある。」
桂「なんだ?」
条件でもあるのだろうか。この共闘が終わったら逮捕、という事にでもなろうものなら、たまったもんじゃない。
桂は少し身構える。桂が土方の様子を伺いながら睨んでいると、土方は煙草の煙を吐き出しながら桂に視線を合わせた。
土方「高杉について…いや、高杉と葵咲について、だ。」
桂「!」
予測していなかった言葉に、桂は思わず目を見開く。そんな桂の表情は想定内だったのか、土方は変わらぬトーンで言葉を紡いだ。
土方「奴らの間に何があった?高杉は葵咲にとって幼馴染の中でも特別な存在だという事は聞いてる。高杉にとってもな。だが、本当にそれだけか?幼馴染である事以外に何か…。」
桂「土方。」
土方の言葉を遮るように呼び掛ける桂。その呼び掛けに思わず土方も口を噤む。
土方「?」
桂「貴様本当に真選組か?いや、それでも侍か?」
土方「あ?」
急に何を言い出すんだ、そう言わんばかりに眉根を寄せる土方。真剣な話を遮られ、土方は苛立ちを見せた。だが桂はそんな土方には構わず、先程しまったばかりの自らの刀を再び抜く。
桂「刀を抜け。」
土方「!?」
そう言って桂は抜き出した刀の先を土方の喉元へと向けた。
桂「今の貴様如き、俺の敵ではないわ。ここで俺が成敗してくれる。」
土方「なっ!」