第100章 頼りになるのは全集中の呼吸。
紅蓮「それに、薬は少なからず副作用がある。いくらお前の身体に適合していようと、いつか歪み(ひずみ)が出てくるぞ。」
玲央「うるせーな。分ーったって。ったく、小姑かよ。」
グチグチ言われる事に嫌気顔の玲央。頭をガシガシと掻きながら眉根を寄せた。そして今度こそこれ以上小言を言われない為に、自ら話を切り替える。
玲央「で?どうなんだよ?お前らの薬の進捗状況。出来れば早く量産させて俺らにも分けて貰えると助かるんだけど。」
紅蓮「さぁ、どうだろうな。製薬に関しては“瑠香(ルカ)”に任せているからな。」
玲央「あんなアバズレ女に任せてて大丈夫なのか?」
紅蓮「こと薬に関しては問題ないだろう。あいつの能力に関するものでもあるしな。」
玲央「フーン。ま、出来たらこっちにも回してくれよな。」
紅蓮「あぁ。」
玲央が作っている薬と紅蓮が関与している薬は違う様子。しかも紅蓮は薬の精製には関わっていないらしい。どうやら紅蓮は“瑠香”という女性と組んでいるようだ。
ひととおり話が収束すると、紅蓮は玲央に背を向けて歩き出す。
紅蓮「先程飛ばした連中はまだ生きている可能性もある。気を付けろよ。」
玲央「え、もう帰んの?」
この場から立ち去ろうとする紅蓮に、玲央は意外そうな顔を浮かべる。だが紅蓮は玲央に背を向けたまま立ち止まり、首だけ振り返って言葉を返した。
紅蓮「今回は薬を渡しに来ただけだからな。」
この場に留まる様子のない紅蓮。だが玲央はそんな紅蓮を引き止めるつもりはないらしく、フーンと返して更に質問を被せる。
玲央「次の会議は?いつか聞いた?」
紅蓮「まだ正式な日程は決まっていない。決まったら連絡するとの事だ。」
玲央「りょうか~い。」
立ち去る紅蓮に、玲央はヒラヒラと手を振って見送った。