第100章 頼りになるのは全集中の呼吸。
釣り目の少年は得意気にニシシと笑みを漏らす。そしてその少年の“華音”というキーワードを銀時は聞き逃さなかった。釣り目の少年と華音とはライバル関係にあるのか、それともこの少年が単に対抗意識を燃やしているだけなのか。それは定かではないが、やはりこの二人も鐡で間違いないようだ。
二人の会話が少し落ち着いたところで、銀時が割り込むように言葉を挟む。
銀時「やっぱりテメーら華音って奴の仲間…!宇宙海賊“鐡”か?」
「!」
ここまで銀時達の存在を無視して話していた二人だが、銀時からの指摘に釣り目の少年は目を丸くして銀時達に視線を戻す。そしてニヤリと笑みを浮かべながら銀時の言葉に答えた。
「へぇ~。華音の知り合い?あぁ。もしかして、あいつの薬で身内に何かあった?アイツ、ヒデェ奴だよなぁ?安心しろよ。俺はそんな無慈悲な事はしねぇからさ。村の奴ら同様、ちゃーんと納得させてから投与してやるよ。力尽くででもな。」
嫌な笑みを浮かべる少年。その発言からみて天狗村の騒動についてもこの少年達が黒幕と見てほぼ間違いないだろう。銀時は、この少年らが天狗村の人間を半ば無理矢理人体実験の被験者に仕立てているのだと推察する。だが銀時はその事をここでは特に追及せず、己の持つ木刀を前に掲げて真剣な眼差しを向けた。
銀時「納得も何も関係ねぇ。オメーら鐡は見過ごせねぇからぶっ潰す、ただそれだけだ。」
「フーン。ま、どうするつもりか知らねーけど。ひ弱なお前ら侍さんじゃあ俺らには勝てねーだろ。」
戦闘開始の構えに移行する銀時と釣り目の少年。少年は懐から何かを取り出そうとするも、紅蓮と呼ばれる大柄な男がそれを止めた。