第100章 頼りになるのは全集中の呼吸。
華音一人でも手を焼いたというのに相手は二人。しかも一人は歴戦の戦士を臭わせる大柄な大男だ。
更に言うなら銀時達(こちら)は潜入時点でかなり体力を消耗した状態。戦闘開始前に既に劣勢を感じる。かなりヤバイ状況である。
三人がじりじりと相手の出方を伺っていると、釣り目の少年が銀時達を指差しながら、視線は大男へと向けて話し始めた。
「なぁ紅蓮(グレン)。さっきの薬、コイツらにも試してみたら?リフレイン?だっけ?」
銀時・近藤「!」
リフレインという言葉を聞いて反応する銀時と近藤。そんな二人には気付いていないのか興味がないのか。“紅蓮”と呼ばれた大男は銀時達を無視して頭を振る。
紅蓮「“リフレイン”は試作品の呼び名だ。今後は“忘却薬”、だそうだ。」
「なんで名前変えるんだよ?」
紅蓮「正式名称は元々“忘却薬”だったらしい。リフレインは華音が勝手に付けたそうだ。」
「別にどっちでも良くね?」
紅蓮「“翡翠(ヒスイ)”のこだわりだ。」
「あ~…薬品名漢字にする事にこだわってんだっけ?あいつも大概ややこしいよな~。」
釣り目の少年は面倒くさそうな表情を浮かべて頭をボリボリと掻く。そんな少年を見下ろしながら、紅蓮は少し申し訳なさそうな顔を浮かべた。
紅蓮「そして悪いな。報告がてら持ってきた一つだ。今は先程渡した分が全てだ。」
「んだよ、使えねーなぁ。つーか華音(アイツ)大丈夫?ヘマして薬取られたって聞いたけど。」
紅蓮「心配無用だ。翡翠が全て回収した。」
「あっそ。でもま、結論としちゃ全てにおいて俺の方が、華音よりずーっと優秀って事だよな?」
(銀時:リフレインに華音、間違いねぇ…!)
「あ、でもお前らの薬は認めてやんよ。お陰でこっちの仕事が大分スムーズになったからな。」
紅蓮「助力になったようで何よりだ。」