第100章 頼りになるのは全集中の呼吸。
- 銀時サイド -
落下してしまった土方達の件はひとまず置いておき、外壁を登りきるのは銀時、近藤、信女の三人だ。三人はなんとか屋上へと辿り着いて、その地に足を付けた。
近藤「やっと登り切ったな…。」
潜入だけで大分疲弊している。相手取ろうとしているのは、恐らく宇宙海賊“鐡”。銀時は華月楼で華音(カノン)という少年(?)と対峙したが、彼はかなりの曲者だった。
今回も師団長である華音が取り仕切っている可能性は大いにある。そうとなれば気を引き締めていかなければならない。
仮に華音が関与していなかったとしても、こんな大きな工場を取り仕切る輩となると、師団長クラスに違いない。華音同等の能力や戦闘力を持っているだろう。決して油断は出来ない。万全のコンディションに戻るまで遭遇は避けたいところだ。
三人が息を整えていると、聞き覚えのない声が上がる。
「なになに?こんなところまで入社希望者来ちった?それとも単なる侵入者ー?」
「!?」
一瞬で背筋に冷たい汗が流れる。三人は即座に声のする方へと構えた。そんな三人の態度を見て、声の主は一瞬目を大きく見開いた後、大きな笑い声を上げる。
「なっはっはっは!その反応じゃあ後者だな?」
相手は二人。声の主の方は華音と同じぐらいの年齢か、それより年下に見える釣り目の少年。が、天人である為、その実年齢は分からない。華音も銀時より年上だと言っていた。この少年も銀時達より年上なのかもしれない。背丈は新八と同じぐらい。被っているフードから赤色の髪をチラリと覗かせている。
もう一人はかなりガタイの良い大柄な男。顔に傷があり、茶色に近いオレンジ色の髪だ。背丈は近藤より更に大きく、背中に大剣を背負っている。外見年齢は銀時達と同じか少し上ぐらいに見えるが、こちらも年齢不詳である。二人は華音と全く同じ、ではないが、類似した白い服を身に纏っていた。
近藤「まさか早速見付かっちまうたァな…。」
銀時「ああ。しかもあいつらの あの服装、いきなりジョーカー引き当てちまったみてぇだ。」