第99章 主役のチームはいつの時代も横並び。
工場の外壁、中程まで登ったあたりで、銀時は自分の左斜め下あたりをよじ登る葵咲へと声を掛ける。
銀時「おい葵咲。お前先に上がれ。」
万が一、自分が踏み外した時に巻き込まないように。また、葵咲が落ちた時には自分が受け止められるように、との配慮だった。
だが葵咲はそんな銀時の気遣いには気付かず、顔を真っ赤にして怒りを露わにする。
葵咲「えぇっ!?なっ!着物の下から覗き見ようって魂胆!?サイテー!変態!!」
銀時「んなわけねーだろ!思春期のガキじゃねーんだよ!んな事するかァァァァァ!!」
まさか自分の気遣いが下心と捉えられてしまうなんて。気遣いを無下にされただけでなく、悪評を付けられた事は何とも腹立たしい。銀時は声を荒げて反論する。そして近藤を指差しながら抗議した。
銀時「そこのゴリラと一緒にすんじゃねーよ!!」
近藤「俺だってそんな事しませんんんんっ!!お妙さん以外には!」
銀時「お妙にはすんのかよ!」
近藤は妙が相手なら着物の裾から覗き見していたらしい。この場に妙がいなくて良かった。その件についてはそれ以上は触れられず、近藤自身もサラリと流す。そして近藤は頼もし気な顔を浮かべながら葵咲へと視線を向けた。
近藤「安心しろ、葵咲。万事屋はそんな事する男じゃねぇ。」
銀時「?」
意外なフォロー。何か裏があるのではとさえ思えるその気遣いに、銀時は不審な目を向ける。
だが次に続けられた台詞は、決して銀時を擁護するものではなく、むしろ蔑まれたものだった。