第11章 情けは他人の為ならずって諺は、結局は自分の為になるって意味。
キメラアントが押し寄せた騒動により、葵咲は土方や総悟と距離が出来てしまっていた。土方は葵咲の方へと駆け出すが、間に合いそうにない。土方が歯噛みしたその時、葵咲はキメラアントを背負い投げた。綺麗な一本背負いである。
葵咲「ご、ごめんなさいィィィ。」
背負い投げてしまったキメラアントに対して手を合わせて謝る葵咲。そこに先に総悟が駆けつけた。
総悟「大丈夫ですかぃ?葵咲姉ぇ!」
葵咲「わ、私は大丈夫。」
そしてようやく土方も葵咲の元へと辿り着く。その時、葵咲は二人から視線を外し、周りを見やる。
葵咲「それより…何か皆こっち向いてない?」
土方・総悟「え?」
キメラアント達は一斉に葵咲達の方目掛けて走りこんできた。
葵咲「なんで?なんでこっち来るのォォォ!?」
そう言って三人は道場から抜け出し、縁側を猛スピードで駆け出す。
土方「総悟!お前はこっち来んな!!昨日奴らに光当てたのお前だろ!奴らお前が犯人だって分かってんだよ!!」
総悟「マジですかぃ?そりゃ大変だ。葵咲姉ぇはこの突き当たりを左に曲がって下せぇ。俺と土方さんは右に曲がりやす。」
土方「俺からも離れろォォォォォ!!!!!」
総悟「水臭ぇや土方さん、いつ何時も一緒だって誓い合った戦友じゃねぇですか。」
土方「都合の良い時だけ戦友面してんじゃねーよ!!」
総悟「…とか言ってる間にもう突き当たりでさァ。」