第98章 頭脳派と肉体派に分かれるのがチーム分けの定番。
葵咲は複雑な表情を浮かべながら良い断り文句を探す。
葵咲「有難うございます。お気持ちは大変嬉しいのですが、私はそんな器じゃないですよ。家紋を背負うと言っても、当主は伯父。私は分家の人間ですから。」
鉄之助の事を忌み嫌う佐々木であれば、血筋云々を過度に気にする体質なのではないだろうか、そう思った。葵咲は佐々木がすんなり引き下がってくれるような言葉で丁重に断りの姿勢を示そうとした。だが佐々木は首を横に振って葵咲を見据える。
佐々木「それでも正当な血筋に変わりありません。」
葵咲「・・・・・。」
“正当な血筋”という言葉に棘を感じる。妾の子である鉄之助に対する嫌味であろう。土方が聞いていれば怒りを顕にしていたに違いない。最も、土方も妾の子である事を葵咲は知らない。だが鉄之助をここまで嫌う佐々木に、嫌なものを感じていた。
葵咲が言葉を失い、何とも言えない表情を浮かべていると、ここで佐々木はその表情を少し変えた。
佐々木「それに・・・・。」
葵咲「?」
嫌味交じりの表情をやめ、いつもの冷静な顔つきに変える佐々木。佐々木は意味深にも葵咲の事をじっと見つめる。その視線に葵咲は目を瞬かせた。
なんだろう?葵咲が佐々木の次の言葉を待っていると、佐々木は発言を躊躇い、頭を振って言葉を飲み込んだ。
佐々木「…いえ、何でもありません。まぁ今すぐにとは言いませんし、無理強いもしませんが。貴女を欲しがっている人間は他にもいますからね。また勧誘させてもらいます。エリート同士、これからも仲良くしましょう。」
葵咲「? …有難うございます。」
少し気になる態度の佐々木であったが、背を向けられ、自室へと向かう佐々木に問い質す事は出来ず、葵咲はそのまま佐々木を見送った。
- 次回予告 -
いよいよ調査に乗り出した葵咲達。
天狗村で驚愕の生物に出くわす!?
工場潜入チームは上手く侵入して調査を進められるのか!?
次回もお楽しみに~♪°.*\( ˆoˆ )/*.°