第97章 スイートルームはエリートの為の部屋。
一同は信女に促されるまま、椿西へと戻る事に。
信女の向かう先は銀時達が宿泊する宿屋だった。こちらの動きが読まれていた、という事なのだろうか。そんな事が頭を過る土方は顔をしかめる。同じ事を考えていた近藤もまた、珍しく浮かない顔をしていた。
宿屋に戻ってすぐ山崎も呼び寄せて合流する。当然の事ながら桂の姿はない。そして近藤、土方、山崎、葵咲、松本、銀時、新八、神楽の八人は信女の案内する一室へと足を踏み入れた。
入った部屋はこの宿で一番高級な部屋、スイートルーム。その広さは他の比ではなく、三室分以上はある。そんな豪華な部屋の奥から、一人の男が出てきて八人を迎え入れた。
佐々木「皆さんお揃いで。おや?真選組の方達だけかと思っていましたが…友人(メルとも)の姿もあるとは。本当に仲が宜しいようで。」
信女がいるなら当然この男もいるだろう、それは葵咲達にも容易に想像がついていた。見廻組局長、佐々木異三郎。彼の姿を見た土方は顔を歪める。だが先程の佐々木からのコメントには、土方ではなく銀時が頭を掻きながら答えた。
銀時「別に仲良くなんかねーよ。こいつらが勝手について来てただけだ。」
その返答に対して苛立ちを見せるのは土方だ。土方は佐々木へと向けていた目を銀時に移し、睨みながら反論する。
土方「テメーについて来た訳じゃねーよ。」
山崎「そうですよ、副長は葵咲ちゃんに…」
土方「山崎ィィィィィ!!」
山崎「ぎゃァァァァァ!!」
山崎、ボコられる。お決まりの展開にはもう誰も反応しない。勿論、佐々木はこのやり取りを初めて見るわけだが、冷静沈着な佐々木は表情一つ変えず傍観していた。そして山崎がボコられているのを尻目に、佐々木はフゥとため息を吐く。
佐々木「なかなかの大所帯ですね。少し、場所を変えましょうか。」