第96章 神は乗り越えられる試練しか与えなくても、人は与えてくる。
場面は土方達へと戻る。近藤と神楽は掴み合いながら、まだ押し問答を繰り広げていた。
近藤「大人しく帰りなさい!」
神楽「嫌ネ!私も探検するアル!!」
近藤「我侭言わないの!そもそも探検じゃないからね!!」
二人が揉み合っているのを尻目に、辺りを見回していた松本が何かを見付けて声を上げる。
松本「皆さん、あれ!」
新八「あ、銀さん達だ!」
松本の指差す方へと目を向け、銀時、桂、葵咲の三人を捕らえた新八は思わず声を上げた。だがここで、もう一つ影がある事に気付いて目を細める。
新八「ん?子ども?何か様子が…。」
言われて松本も目を凝らす。虚ろな表情をした子どもを目にし、松本は青ざめて目を見開いた。
松本「・・・・まさか!?」
近藤「あ!ちょ!松本先生ェェェェェ!!」
次の瞬間、松本は走り出していた。冷静沈着な松本が焦りを見せて走り出す姿を見て、ただ事じゃないと捉えた土方達も慌てて松本の後を追う。
一方、葵咲は心配そうな顔を浮かべながら、銀時と桂に相談している。
葵咲「どうしよう?とりあえず帰って病院に…。」
『連れて行こうか。』語尾を言い終わらぬうちに、葵咲と少年との間を割って入る人物が。掛けて来た松本である。
松本「すみません!ちょっと診せて下さい!」
葵咲「え?…短英さん!?なんでここに!?」
聞き覚えのある声に反応するも、暗闇で一瞬誰だか分からなかった。しかもこんな場所に松本がいるだなんて思ってもいない。松本の姿を見た葵咲は驚いたように目を丸くする。
そんな葵咲には構わず、この場に駆け付け、松本に苦言を呈するのは土方だ。
土方「ったく…!尾行が台無しじゃねーか!!」
葵咲「え。…でェェェェェ!?ひ、土方さんんんんんん!?なんで!?なんでここにィィィィィ!?」