第96章 神は乗り越えられる試練しか与えなくても、人は与えてくる。
そんなやり取りを無視して土方は松本に言葉を返す。
土方「三人部屋で十分だろ。」
松本「そうですか。」
近藤「あぁっ!無視しないでェェェ!今回俺の扱い酷くね!?」
山崎「いつもこんなもんでしょ。」
近藤「ちょっとォォォォォ!!」
まだ関わり合って日数の浅い松本までもが塩対応。その事に関して辛みを述べる近藤だったのだが、山崎から更なる斬撃を食らわされて近藤は思わず撃沈した。
松本はそんな近藤には目もくれず、部屋割りについて新八の方に目を向けながら提案する。
松本「では私、新八さん、神楽さんの三人で如何でしょうか。」
松本の提案を聞いた新八は、チラリと近藤の方を一瞥した後、再び松本へと目を向けて頷く。
新八「そうしてもらえると安心です。」
近藤「新八君!?今 俺の事チラ見してから言ったよね!?」
山崎「俺達、警察なんですけど。執行猶予付犯罪者より安心出来ない警察って…。」
新八の返答には山崎も少し堪えた様子。今後の身の振り方について、改めるべきかと考えた。
その時、何かに気付いた土方が目を見開き、口元へと人差し指を当てて他のメンバー達に沈黙を促す。
土方「しっ!」
「?」
土方の誘導に従い、六人はひとまず廊下の影へと隠れる。怪訝な顔を浮かべる五人。そんな一同に目を向けながら、土方は見付けた対象物へとクイッと親指を向けた。
「!」
そこには葵咲、銀時、桂の姿が。三人は神妙な面持ちで玄関へと向かっている。
新八「何処か出掛けるみたいですね。」
松本「至極深刻な表情を浮かべていますが…。何かあったのでしょうか。」
土方「とりあえず山崎、お前は適当に部屋取っとけ。俺達は奴らの後を追うぞ。」
六人は頷き合い、山崎一人を残して再び葵咲達の尾行についた。