第96章 神は乗り越えられる試練しか与えなくても、人は与えてくる。
一方その頃、土方達は。
葵咲達が天狗村へと寄り道した際に、一度三人を見失っていた。急遽車を停められた為に通り過ぎ、迂回して戻って来た時には葵咲達は出発した後。入れ違いになってしまったのだ。仕方なく土方は裏から手を回し、葵咲達の宿泊先を調べた。そして今やっと宿屋へと到着したのである。
葵咲達と鉢合わせしないよう注意を払いながら、一行は宿屋に入る。エントランスへと案内され、受付待ちの状態だ。
山崎「葵咲ちゃん達、見失っちゃいましたね。」
近藤「だがここに泊まってるのは確かなんだろ?だったらひとまず部屋取って、入口ででも待機したらどうだ?」
山崎「そうですね。局長の十八番(オハコ)ですもんね。」
近藤「特技=ストーカー・待ち伏せみたいに言うのやめてくんない!?それを言うならお前の方が得意じゃん!!」
確かに、近藤はストーカーと言えど待ち伏せより追い掛け派。もしくは同じ空間に待機派だ。一方の山崎は近くから覗き見派。どちらかというと山崎の方が適任かもしれない。その事に関して図星で言葉を失ってしまった山崎は別口から反論する。
山崎「俺はたまさん限定です!」
近藤「俺だってお妙さん限定ですぅー!」
松本「はいはい。ストーカー(低レベル)の口論はそれぐらいに。」
大きなため息を吐いて呆れ顔を浮かべる松本。どうやらこの真選組というストーカー組織にも少し慣れてきたようだ。そうこうしているうちに受付からお呼びが掛かる。一番常識人である松本と、土方が受付へと足を運んだ。
松本「どうします?二人ずつの三部屋を取るか、三人ずつの二部屋にするか。そしていずれにせよ部屋割をどうしましょう。まぁ少なくとも、近藤さんと神楽さんという組合せだけは避けた方が良いでしょうが。」
土方へと話し掛けた松本だったが、その発言を聞いていた近藤が思わずツッコミを入れる。
近藤「ちょっとォ!?俺を変態扱いすんのやめてくんない!?流石にチャイナ娘相手にムラムラはないよ!!」
神楽「そうネ、こっちだって動物園の檻は御免アル!」
近藤「そっちィィィィィ!?」
変態扱いではなかったが、動物扱い。近藤は少し涙目である。