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銀魂 - 雪月花 -

第96章 神は乗り越えられる試練しか与えなくても、人は与えてくる。


深刻な顔で駆けている女性を見付けた葵咲と銀時。二人は暫く女性の様子を見守っていたが、ため息を吐いて立ち止まる姿を見て葵咲は立ち上がり、女性へと声を掛けた。


葵咲「どうかしたんですか?」


突如話し掛けられ、思わずビクリとなる女性。だが心配そうに声を掛けてくれる葵咲を見て、怪しい人間ではないと感じたのか、少し躊躇いながらも事情を話し始めた。


「うちの子が…、息子がまだ帰って来ないんです。いつもならとっくに帰って来てる時間なので心配で…。」


事情を聞いて理解を示す葵咲と銀時。女性がきょろきょろしながら深刻な表情で走っていた事に納得した。そして銀時は母親を気遣うように言葉を掛ける。


銀時「ガキ共で盛り上がって時間忘れてんじゃねーの?」


特に男の子であればよくある話。自分も幼き頃は悪童であった為に夜更けまで遊び呆けていた過去を思い出す。だが母親は首を横に振って言葉を返した。


母親「いつも一緒に遊ぶお友達は皆家に帰っているみたいなんです。」

葵咲「! それは心配ですね。」


確かに自分の子どもだけ行方が分からないとなれば心配だ。葵咲が自分も子どもの捜索に加わる事を申し出ようとしたその時、三人に声を掛ける人物が。


「どうかされましたか?」


声の主へと目を向けると、そこには眼鏡を掛けた物腰柔らかそうな男性が立っていた。男性を見るや否や、母親は少し安心したような、嬉しそうな顔を浮かべる。


母親「あ、緒方先生!うちの子がまだ帰ってこなくて…。」
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