第95章 恋のキューピッドは大半が自己満足。
銀時「…ったく。」
こうなってしまっては仕方がない。桂の提案に乗るのも癪だったが、一人で出掛けるのも躊躇われた為、葵咲を誘ってみる事に。
銀時は頭をボリボリ掻きながら葵咲の部屋の前へ足を向けた。
銀時「・・・・・。」
部屋の前で立ち竦む銀時。
と、ここでチャイムを鳴らそうとする手が止まってしまう。
(銀時:…デートってどうやって誘うんだっけ?今までこんな正式にデートに誘った事ねぇから正当法が分からね…っていやいや、これデートじゃねーし。桂(バカ)が変な事言うから、ちょっと意識しちまっただけだし。)
そんな事を頭で考えながら再びチャイムを押そうとする。
だが指が動かない。銀時は冷や汗を一つ垂らしながら頭の中で葛藤する。
(銀時:…え。ナニコレ。何で緊張してんの?俺。・・・・いやいや。ないって。それはないって。葵咲(天然女)相手に緊張とか無駄過ぎるだろ。)
部屋の前で立ち往生する銀時。余計な事を考えすぎて思考も停止。一瞬固まってしまう銀時だったが、再び頭の中で葛藤が。
(銀時:…いやいやいや。そもそも緊張なんかしてねーし。キンチョウって何?蚊取り線香?ぐらいの勢いだし。ナポレオンだって『吾輩の辞書に不可能の文字はない』って言ってんだから、俺だって『俺の辞書に緊張の文字はない』って言うし。いやいやいやいや…だから・・・・)
桂「さっさと誘わんか。」
銀時の様子をドアの隙間から覗き見ていた桂はとうとう痺れを切らし、出てきて銀時を蹴飛ばした。
銀時「ぐへっ!」
だが蹴飛ばして早々、すぐさま自分の部屋へと逃げ帰る。銀時は蹴られた腰を摩りながら桂の方へと目をやるも、その姿を捉える事は出来なかった。