第95章 恋のキューピッドは大半が自己満足。
だんだんとツッコむ事にも疲れてきた。半分呆れ顔で耳をほじっていると、桂は右手人差し指を立てながら真剣な眼差しを銀時へと向けた。
桂「ちなみに俺は、葵咲は土方に“ホ”の字なのではと予想している。」
銀時「しかも“ホ”の字表現古ぃし!!」
銀時のツッコミ再熱。一度は面倒臭くなったツッコミだったが、ここでツッコまずにはいられないワードが出てきた為だ。だがそのツッコミもまた桂は無視し、銀時へ深々と頭を下げる。
桂「敵に塩を送った俺を許せぬというのなら、腹を切って詫びよう。」
銀時「どっちかっつーとお前の馬鹿さ加減が許せねーよ。」
桂「だがその前にワンチャン、俺にチャンスをくれ。」
銀時「いや良いって。そんなんじゃねーから。つーかお前の語彙力、基本古いくせに何でワンチャンだけ現代語なんだよ。腹立つな。」
ここで桂は頭を上げ、銀時へと不敵な笑みを送る。究極のドヤ顔だ。
桂「今から夕食までの時間をお前にやろう。」
銀時「だからいらねーって。変な気ィ遣ってんじゃねーよ。」
そんな銀時の断り文句を聞き入れる事なく、桂は半ば強引に銀時を部屋の外へ、ドゲシッと蹴り出した。
桂「葵咲を誘って二人で出掛けてくると良い。」
銀時「なっ!ちょ!おいィィィィィ!オートロックゥゥゥゥゥ!!」
締め出された銀時は鍵を持っていない。勿論、桂が扉を開ける事もない。
扉に向かって叫ぶ銀時の声は虚しく響くだけだった。