第95章 恋のキューピッドは大半が自己満足。
数十分車を走らせた後、一行は宿のある町、椿西に到着。
宿の前に車を停車させ、トランクに入れていた荷物を取り出す。そして長谷川がトランクを閉めながら得意気に葵咲へと笑顔を向けた。
長谷川「また出掛ける時には携帯に電話掛けてきてくれよ。」
その言葉に一番に反応したのは葵咲ではなく銀時。長谷川の発言に気になるものがあったらしい。銀時は少し目を見開いて言葉を返した。
銀時「え?何。長谷川さんのくせに携帯なんか持ってんの。」
長谷川「くせにってなんだよ!」
こちらもまた気になるワードに反応する。だがここで争っても仕方がない。とりあえず銀時のトゲある言葉を流して長谷川が続ける。
長谷川「ま、会社から支給されたやつだけどな。」
銀時「何会社支給の携帯自分のモンみたいに話してんだよ。長谷川さんのくせに生意気すぎんだろ。」
長谷川「そこそんなに喰い付くところ!?」
折角大人の対応で流してやったのに、掘り下げられる事に憤りを感じる。だがそれ以上は特に何も言われなかった為、改めて長谷川は葵咲へと向き直った。そして葵咲は長谷川へと笑顔を向けながらペコリと会釈をする。
葵咲「じゃあまた宜しくお願いします。」