第94章 タイムカプセルの中身にも格差がある。
手早く用を足して車へ戻る二人。長谷川は墓参りの時と同じく、車の外で煙草を吸って待っていた。そんな長谷川を見て葵咲は辺りを見回す。
葵咲「あれ?太郎ちゃんは?」
長谷川「ちょっと付近散歩してくるって。」
待たせてしまって申し訳なかったかな、そんな気持ちを抱きながらも葵咲は再び長谷川へと視線を向ける。そして村内で感じた疑問をそのままストレートに投げ掛けた。
葵咲「この村は廃村か何かなんですか?」
長谷川「いや、普通に人が住んでるはずだけどな。ここだよ、さっき話した天狗村って。」
葵咲・銀時「!」
宿を取る際に何度か電話したが繋がらなかったという天狗村。それがこの村だったとは。驚きを隠せないながらも、何か納得するものを感じる葵咲と銀時。二人は顔を見合わせた後、葵咲が再び長谷川へと目を向けて言った。
葵咲「でも、誰もいなさそうでしたよ。」
長谷川「本当か?あ。そういや天狗村の連中は、ほとんどがあの工場に働きに出てるって聞いたな。ちょうど今、皆出払ってるんじゃねぇの?」
葵咲「?」
銀時「・・・・・。」
そんな雰囲気でもなかった気がするけど…。葵咲はそう思いながらもそれ以上追及する事はせず、桂の帰りを待つ事にした。