第94章 タイムカプセルの中身にも格差がある。
少し歩いたところで葵咲も怪訝な顔を浮かべる。きょろきょろと村の様子を伺いながら、銀時へと話し掛けた。
葵咲「なんか、不思議なくらい誰もいないね?廃村なのかな?」
銀時「それにしちゃ廃墟みてーな建物はねぇし、色々真新しいものもある気がすんだけど。」
葵咲「確かに。」
廃村ともなれば、吹きさらしにあったボロボロの建物があるはず。だがそんな建物は一切なく、綺麗な建物ばかり。むしろ最近建造されたであろう綺麗な民家さえあった。人が住んでいる気配はあるのに、人影がない…。異様な雰囲気を感じる村内を歩き進んでいると、背後でガサガサという物音がした。
葵咲・銀時「!?」
二人は俊敏に振り返る。だが誰もいない。不信感を抱いた葵咲と銀時は顔を見合わせて頷き合う。そして慎重に物音がした方へと歩み寄った。木の茂みをかき分けてみるも、やはり誰もいない。
葵咲「…何か動く気配無かった?」
銀時「ああ。」
葵咲「気のせい?だったのかな…。」
銀時「・・・・・。」
気配の正体を突き止めるべきかとも思ったが、深入りするのも危険な気がして二人はひとまず厠へと向かう事にした。